研磨材の製造販売 スリーエフ技研
TEL. 072-881-8400

オーナーです 

研磨条件 第三回 センタレス研磨におけるスキュー角についてです。




センタレス研磨ではパイプあるいは丸棒を送りながら研磨します。パイプを送る方法は幾つかありますが、最も一般的な方法はパイプを受けているローラーに角度(スキュー角)を付けて、ネジを回すようにして送る方法です。パイプを送る速度は送りローラーの大きさ、角度と回転数で決まります

 

1.パイプを前に送る速度からスキュー角θを求める場合

送りローラーの外径D、送りローラーの回転数N とすると

送りローラーが毎分送り出す長さは上記三角形の辺Aです。

A = ローラーの周長 x 回転数 = D x pi x N

例)外径100パイの送りローラーが60rpmで回った場合

A = 100 x pi x 60 = 18849.56 ≒ 18850 mm

 

設定したい送り速度(m/min)は上記三角形の辺Bです。

B = 5000mm

 

求めるスキュー角θは角ABの余角でACとなります。

θ= sin-1(B /(D x pi x N))

例)送り速度5m/minに設定したい場合

θ=sin-1(5000/18850) = 15.38 15°

という事で、スキュー角を15°にすれば送り速度がだいたい5m/minとなります。

 

2.送りローラー100パイ、60rpm、スキュー角15°から送り速度を求める場合

上記三角形の辺Bなので

B = A x cos(90-θ) = A x sinθ

B = 18850 x sin15°= 4879mm/min 5 m/min となります。

ここで応用問題です

ではこのスキュー角を10°に変えて、送り速度を同じ5m/minにするには
送りローラーの回転数をいくつにしたら良いでしょうか?


まず送りローラー1回転で進む距離を求めます。

100 x pi x cos(90°-10°) = 100 x pi x sin10°= 54.55mm

求める送り速度5000mm/min なので必要な回転数N

N = 5000 / 54.55 = 91.65 ≒ 92 rpm となります。

 

つまりこの研磨機で送り速度5m/min で磨きたい時、スキュー角15°、60rpmの設定でも、
スキュー角10°、92rpmで設定する事も出来るんです

この場合研削量が多くなるのは前者ですが、パイプが長手方向に綺麗に仕上がるのは後者です。

実際の送り速度は、送りローラーとワークの間で伝動ロスもあり必ずしも理屈通りには行きませんが、ここで知って頂きたい事はセンタレス研磨の研磨条件としてスキュー角があると云う事です。
見た目に同じ送り速度であってもスキュー角が違えば仕上がりは違います。
逆に云えば仕上げを改善したければ、スキュー角を見直すのもひとつの選択肢だと云う事です

※ '20.8.31追加
ワークの外径が変わると径によって回転数は変わりますが、スキュー角が同じなら単位時間当たりに前進する送り速度は計算上同じになります。但し、実際には軽量のワークで回転数が多くなるとスリップする事が多くなり送り速度は下がる傾向になります。

以上で研磨条件三回シリーズを終わります

 


他の記事もご覧になりませんか?(よく読まれている記事一覧)

アクセスランキングに参加しています。
よろしければ、2つのバナー画像をクリックして頂けると嬉しいです。
とても励みになります。

にほんブログ村 企業ブログ 製造業へ