オーナーです。今回のテーマは研磨のお話「NFホイール」です。
研磨のお話では初回から前回まで一般的な研磨について書いてきました。ここからは弊社独自の研磨ホイールについて書いていきます。まず今回は「NFホイール」。
NFホイールは昭和54年に弊社の創業者(実父)が考案して特許を取得した研磨ホイールで、New Flap wheelの頭文字を取ってNFホイールと命名されました。以前のブログでも書いたようにフラップホイールは高速回転で研磨布の羽根がワークに叩きつけられる事で研磨が行われます。古典的な研磨布の用法であるベルト研磨に比べて圧倒的に寿命が長いと云う利点がありますが、コンタクトホイールでベルトを押し当てるような形と違い、回転で拡がった羽根先が当たるだけなので研削力に劣ると云う欠点があります。
研磨の形態からベルト研磨を「摺り研磨」、フラップホイールの研磨を「叩き研磨」と呼んで区別します。創業者は研磨の基本は「摺り研磨」であるべしと考えて、フラップホイールに様々な工夫を加えて羽根のバタつきを抑えようとしました。その答えのひとつがNFホイールです。
NFホイールはフラップホイールの羽根に切り込みを入れて何枚かを捻り合わせています。良く見て頂くと捻り方が右、左と交互になっているのが判ります。古いお客様の中にはこの外観から「ラジアルホイール」と呼んで頂く事もあります。
捻り合わせた部分は体積が増えて密度が上がるので、使用時に羽根先がバタバタと叩くことが無くなりワークの表面を摺るようになります。実はフラップホイールの場合、叩きつけられた衝撃で羽根先が損耗していきます。摩耗して研削力を失った部分が飛散するのは「自生作用」と云って必要な働きなのですが、ムダな減り方をさせないように使うって現場ではとっても難しいんです。フラップホイールで研削性を上げようとすれば回転数を上げるくらいしか方法がなく、300φで2400rpmぐらいが普通のところを2700rpmとか3000rpmとかで使用しておられる現場も見てきました。こういう現場はとにかく時間当たりの仕事量(研削量)が欲しいと云ったところですね。
NFホイールは羽根がバタつかないので周速を上げる必要がありません。周速を上げると馴染みが悪くなり上滑りする傾向が強くなります。適正周速は1600~1800mpm前後。300φなら1800~2000rpmで使って下さい(ホイールは段々小さくなるので、最初は少し早めに設定します)
NFホイールの外周は写真のように幾つもの空間が存在するので、適度な排熱効果があります。乾式研磨の場合、研磨熱でワークが反るとか焼けると云った心配をされるお客様にも安心してお使い頂けます。
NFホイールはパイプや丸棒のセンタレス研磨に最適です。後日ご紹介するGFホイールは#40-#80の重研削向けですが、NFホイールは#180-#600ぐらいの中仕上げ向け。フラップホイールで削量が足りないとか、工程を短縮したいと云った用途に最適です。
NFホイールには追加のアレンジとして油加工があります。主にアルミ研磨用ですがアルミ研磨で起こりがちな目詰まりと引き摺り目を抑制する効果があります。
詳しいお話は弊社営業までお問い合わせ下さい。
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