オーナーです。
今回は金属用研磨布(サンドペーパー)の主原料、砥粒についてのウンチクです。
教科書的な説明は他に譲って、ここではオーナーの職人としての見解を書きます。
研磨布の砥粒の代表はA砥粒(酸化アルミナ:Al2O3)とC砥粒(炭化ケイ素:SiC)です。
A砥粒はノートン社(現サンゴバン社)、C砥粒はカーボランダム社が開発したものです。
今では一般金属研磨はA砥粒、モルタル、石材、ガラスなど硬くて脆い素材にはC砥粒
と云う使い分けが業界の常識になっています。
オーナーのイメージはA砥粒がトンガリ山、C砥粒はイガグリです。
同じ番手でもA砥粒はトゲのある感じで切れがシャープですが、
初期のシャープな切れ味は長続きしません(ダーリング)。
ベルトで使用すると仕上げ面粗さが変わるので、初期状態を嫌うユーザーさんも多いです。
勿体ないですね。
一方C砥粒は破砕性が高く喰いつきが良いので硬い黒皮(酸化皮膜)の除去や鋳物の研磨向きです。
しかし組成上炭素鋼の研磨には不向きとされているため研磨布としては圧倒的にA砥粒系が多いです。
1980年代に入ってより 靭性の高いZ砥粒(正確にはアルミナジルコニア)研磨布が普及しはじめ、
価格もA砥粒、C砥粒と同レベルになると粗番手(#80ぐらいまで)の研磨はZ砥粒が定番になりました。
加圧を掛けても負けない感じで、高研削性を維持してくれます。
さらに2000年頃からはより研削性の高いS砥粒(セラミック)が普及し始めました。
これも当初はZ砥粒の3〜4倍の値段だったので超難削材にしか使われませんでしたが、
最近は普及タイプならZ砥粒の2倍程度まで価格が下がったせいで、
利用者の皆さんは選択肢が増えました。
S砥粒はSGと呼ばれるサンゴバン社製とキュービトロンと呼ばれる3M社製があります。
S砥粒は簡単に云えばアルミナ砥粒を焼結させたセトモノで、
研磨の際に少しずつ欠け落ちる事でダーリングする事無く高研削性を維持すると云われます。
靭性が高く加圧を掛けて切れ味が上がるZ砥粒とは性質が違い、
加圧を掛け過ぎると砥粒を無駄に潰してしまうので、
利用の際は少し加圧を抑えめにして自生作用を上手に利用しながら使うのがコツです。
当社では各メーカーの研磨ベルトを取り扱っていますので、是非お問い合わせ下さい。
研磨に関するご相談・研磨材(研磨ホイール)の製造ならお任せあれ、
スリーエフ技研 です。
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