オーナーです。今回は研磨の話「研削比」について。
研磨材は相手(ワークピース、略してワーク)を削る工具ですが、相手を削りながら自らも減っていくのが常です。化学研磨や電解研磨も広義では研磨ですが、このサイトで研磨と云えば固定砥粒による物理研磨とご理解下さい。
弊社では高研削性のGFホイールを製造・販売していますが、お客様の作業にベストマッチした商品を仕上げるために、研磨布の種類を変えたりアレンジを加えて若干のマイナーチェンジを行って比較テストをします。
(左図:通常のGFホイール、右図:目詰まり防止の為の加工をしたGFホイール)
単に研削性が高いかどうかだとワークの削り量を測れば良いのですが、工具寿命は研磨コストに関わってくるので重要です。そこで
研削比 = ワークの削られた量 ÷ 研磨材の摩耗量
で、コストパフォーマンスを調べます。
同じ研磨条件で研磨テストを行った結果、下記のようになったとします。
研削量 | ホイール摩耗量 | 研削比 | |
GFホイール A | 100g | 50g | 2 |
GFホイール B | 120g | 65g | 1.85 |
研削性 ホイールA < ホイールB
研削比 ホイールA > ホイールB
AのホイールはBに比べて研削性ではやや劣るものの、自らの摩耗量がBより少なく、研削比で勝っています。つまりBよりも効率的に相手を削っていると云う事です。
初期の外径と廃却径がともに同じであれば、Aの方が寿命が長いと云う事になります。
要求される研削量が100gで加工時間が変えられない装置であれば、製品Aが採用になります。
ではBは全くダメかと云うとそうでもありません。研削性の高さは魅力です。
加工時間を変えられる装置であれば、ホイールBを使えば加工時間を20%短縮出来る事が判ります。研磨材の価格が同じとしても寿命が短いので加工単位当たりの工具コストは8%程度上がります。しかし研磨工程がボトルネックになっている生産ラインだと、加工時間20%短縮の方が遙かにメリットは大きいです。
弊社ではこうした研磨テストを通じてお客様にベストな「世界にひとつ」の研磨材をお届けしようとしています。ご興味の方は是非弊社営業までご連絡下さい。
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