オーナーです。今回のテーマは「包丁研ぎ」。
緊急事態宣言が一部解除されたとは云え、まだまだステイホーム(お家にいようよ)と云う事で、なかなか外に遊びに行く事も出来ませんね。オーナーは昨年、地域で開催されている「男の料理教室」に参加したのをきっかけに、お弁当作りに励むようになりました。「男子ごはん」と云うTV番組を見て、時々晩ごはんも作っています。(まだレシピと計量スプーン必須ですが)
で、今回のテーマは「包丁研ぎ」です。何故かと云えば弊社は研磨材メーカーだから。
最近はコロナ関連の話ばかり書いていて「研磨のお話」が全く出来ていないし、身近な研磨の話として全く切れない我が家の包丁を研ぐ話をしようと思います。
取り出だしたる我が家の包丁。何年研いでいないか判りません。トマトを切るとご覧の通り。家内から切れないと言われてたのですが、こんなだとは知りませんでした。
先日何気なくTVを見ていたら包丁研ぎ器のCMが目につき「こんなの買わなくてもうちのペーパー(研磨布)で出来る」と披露する決意に至った訳です。実際、何件かの包丁メーカーさんに研磨材を納入させて頂いてまして、実は多くの包丁はサンドペーパーで磨いてるのです。
以下、サンドペーパーで出来る簡単包丁研ぎです。
① #240, #400, #800 の耐水研磨布(サンドペーパー)10cmx15cm 各1枚を用意します。
DIYで買える紙製でも構いません。研磨紙は主に木工用で生地が弱くすぐに磨けなくなるので各5枚ぐらい用意した方が良いです。また必ず耐水のものを選んで下さい。乾式研磨紙に水を掛けると砥粒がすぐに脱落します。
② #240 のペーパーを濡らします。
③ ペーパーが動かないよう台に固定し、包丁を研ぎます。(所要1分)
包丁の角度は15度ぐらい。同じ角度を保って手で押し付けながら大きめに前後にゆっくり研ぎます。刃先から順に手元の方を研いで下さい。熱が出ないよう水分を保ったままゆっくりしっかり磨きます。
④ 包丁を裏返し、③と同じ要領で研ぎます。(所要1分)
(注:片刃の包丁は刃のついている方だけで④は無しです)
⑤ #400 に替えて同じ要領で研ぎます。(所要各1分)
⑥ 新聞を切ってみて切れ味を確認します。
研ぐ前にも一度新聞を切っておくと、違いが判ります。
あまり変わらないようだと研ぎが足りないので、②に戻って作業して下さい。
(新聞を切るのは研いだ時に刃先に出るバリ(トゲ)を取る意味もあります)
⑦ #800 に替えて刃を研いで下さい。(所要1分)
#800は目を整える仕上げです。
最後は新聞を何回か試し切りして確認と、バリ取り作業をします。
そのあと刃を指でなぞって引っ掛かりを感じたらバリなので、新聞で取れない物は#800でそこだけヨコ向きに削ります。
上手に刃研ぎが出来たらトマトを潰さずにスッと包丁が入ります。
実は材質がステンレスか鋼(はがね)かで研ぐ時間も変わります。実際に研いでみるとステンレスは硬くて研ぎ直しましたし、鋼なら柔らかくて見る間に刃先が変わるので判ります。
注意点
・ セラミック包丁やパン切り包丁は特殊なので対象外です。
・ 研ぐときに一定の角度が保てないと刃先を丸めてしまう恐れもあるので、普段使いの包丁のちょっとした手入れ程度でトライしてみて下さい。
・ #240の粗い目が残るとSUSでも錆びる事があります。それを避けたい場合は#240は短めにして#400でしっかり研磨して下さい。
注:業界では研磨布、研磨紙と区別しますが、一般的な呼び名に従って文中ではサンドペーパー(又はペーパー)としました。
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