オーナーです。
前回に引き続いて研磨布の基材について。
ベルトの硬さは硬い方からY->X->J->Fだという話をしました。
紙ベースの研磨紙の場合、紙の重量(ウエイト)でボクシングのように正確にクラス分けされます。
一方布ベースの研磨布はJISやANSIでも規格が無くて、同じウエイトでもメーカーが違えばさながらプロレスみたいに超ヘビーなのや超ライトなのが現れるので、ユーザーはウエイト表記に惑わされない事が大事です。
さて、もう一方でベルトを使う際に多くの人が使うのがゴムコンタクトホイール(ゴムコン)です。
地味ですが実は研磨ベルトの切れ味の重要な鍵を握っています。 ゴムコンはゴムの種類、硬さ、ゴム厚、山の形、山と谷の割合(ランド比)、溝(セレーション)の角度など様々な要素があり、適切なチョイスをすればベルトの切れ味、ライフを飛躍的に伸ばす事が出来ます。
感覚として研削性を高めるにはワークへの食い込みが深くなる硬い(硬度85°程度)ゴムコンが適していると云う事は判ると思いますが、ではセレーションはどうでしょうか。
研磨布が当たり続けるのが良いと考えればプレーン(溝無し)が良く削れると思いがちですが実は真逆で、研削性を求めるならば溝を広くする事が肝心です。
ゴムコンの溝は切れ刃の役割を果たすので、硬度85°セレーション1:2(山:谷)をお勧めします。溝の角度は幅が狭くなるほど鋭角にして下さい。
逆に仕上げであれば硬度55°ダイヤモンドセレーション(DS)をお勧めします。
オーナーは昔イタリアのミラノでゴムコンメーカーの社長から長時間の講義を受けた事があります。
彼によるとゴムコンのバイブルと呼ばれるものが有って、何ヶ国語にも翻訳されてそれを持っている業者が本物のゴムコンメーカーだそうです。
帰国後当社の仕入れ先のゴムコン屋のオヤジにその話をしたら、「ニタッ」と笑ってました。
研磨の世界は奥が深いです。
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