オーナーです。今回は「フラップホイール」その4で、羽根の動きについてお話しします。
これまでをご覧頂いていない方は、是非その1、その2、その3を合わせてご覧下さい。
実際にフラップホイールをお使いの現場の方でも羽根がどんな動きをしているかご存知無い方は多いようです。取り付けた形で当たっている様に思いがちですが、実際には当て方によって色々な形に変化してワークに当たっています。
① まずフラップホイールが回転を始めると、遠心力で羽根が立ち上がり、羽根先は均等な間隔となります。
② 研磨作業の為に羽根先がワークに当たるようになります。羽根先に抵抗が発生するので前に進めず後ろの羽根が追いついてしまいます。
③ どんどん後ろの羽根がやってきて、渋滞が発生します。
④ 根元の回転の動きに引っ張られて、先頭が抜け出ると密集は解放に向かいます。
フラップホイールは毎秒30~40回転していますから、もちろんこうした動きは人間の目には見えませんが、特殊な撮影をするとそれを捉えることが出来ます。実際の画像がこれです。
Youtubeの動画を見れば、羽根がフラダンスのように動いているのが判ります。
https://www.youtube.com/watch?v=QKW8XhFMT-k
こうした現象はフラップホイールで板研磨を行った時に見られるチャタマークの原因となります。このような羽根の動きを抑えたのが弊社のGFホイール/NFホイールで、いずれ詳しくご説明します。
作業者の中には研削性を上げようと、研磨ヘッドを少し下げて羽根を押付けようとする人も居るでしょう。しかし実際には遠心力で真っ直ぐ伸びようとする羽根と押さえつけようとする力に挟まれてフラップホイールの羽根は押さえつけられるのではなくてS字になってしまいます。
羽根の曲がりが大きくなるだけで羽根先をワークへ押付けようとする意図とは全く異なった状態になります。研削性も変わらないか、むしろ低下するケースが多いです。
フラップホイールは遠心力で羽根を叩きつけて研磨する原理なので、羽根先を上手に当てるのが正しい使い方です。
混乱するといけないのであまり書きたくないのですが、羽根の踊りをどうしても止めたい場合、羽根が立ち上がる隙間を作らないぐらいホイールとワークの距離を縮めて使う変則的な使い方があります。「羽根を引き摺る」方向に持って行くことで、上記の①~④のような現象を止める訳です。しかし根元に近い部分の腰を無理矢理曲げるような形になるので羽根のダメージが大きくなり、一歩間違えると破損します。このような使い方をする場合は、腰の柔らかい研磨布を選ぶ、標準より長めの羽根にする、周速を遅めにするなど使用者の工夫が必要で、初心者の方にはお勧め出来ません。
以上フラップホイールの羽根の動きについてご理解頂けたでしょうか。では今回はここまで。
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